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冬山、あの山、どこの山 <冬山ハイキングに行ってみた>

2021.3.4

アクティビティ 景色 流氷

 

毎年冬が来るたびに「冬山」へ登ってみたいと思うのですが、スキーもスノーボードもできないし、雪崩も怖い、なによりも寒そう。だけど毎年、冬になって雪をかぶったあの山々の頂からはどんな景色が見えるのかを想像しては、うずうずうずうず。

 

「冬山、初心者なのですが…。」

恐る恐る、友人の山岳ガイドへ連絡してみました。

 

冬山の心得

 

「初心者ならばここはどうですか?」

すんなり了承してくれたガイドさん。登りたい山が決まっているわけではなかったので、天気や雪の状況、私たちの体力などをもとにガイドさんと連絡を取りながらプランを考えます。(もちろん、○○山に登りたいというのもあり。)

今回、私たちが選んだ山は通称「あの山」。標高が600mほどとそこそこの高さで景色はいいし、あまりきつい登りもない。朝8時に出発して夕方には帰って来られるという安心感もあり、なによりもうわさに聞いてはいた「あの山」に登ってみたいという冒険心が勝りました。

行き先が決まったら、準備をせねば!

でも、冬山に何を持っていけばいいのか!?

と悩んでいたところ、ガイドさんが装備一覧表を見せてくれました。これをもとに装備を揃えましょう!
あまり夏山と変わったところはなく、「防寒・防水」と「雪を中に入れないこと」を考えてながら装備やウェアを準備しました。後は体調を整えながら、良い天気を願うばかりです。

 

雪の中を「登る」

 

当日、朝8時に知床自然センターに集合。
曇り。風は弱い。山へ行くには比較的良いお天気でした。

スノーシューとストックをガイドさんから借り、いざ出発!

 

初めは森の中を歩きます。冬山の多くは夏の登山道がない、あったとしても通らないので、整備された遊歩道等ではなくただの森。ガイドさんがいなければどこを歩いているのかもわかりません…。休憩がてらおもむろに広げる地図で現在地を確認します。道などの人工物や川、特徴のある谷、そういったものを目印にするそうです。

 

 

トレース(足跡)がついているのが気になって聞いてみたところ、ガイドさんが下見ついでに前日登ったとのこと。また地元のガイドさんや山スキーヤーがよく登るんだとか。

スノーシューを履いているとあまり雪の厚さを感じませんが、ふと顔を上げて倒木の上にのった雪を見ると、かなり雪が積もっていることがわかります。顔を描いたら恐竜みたい。

 

さて、本格的に雪の中を上っていくのですが、ここでお助けしてくれるがやはりスノーシューなのです。冬の知床に来た事がある方は履き慣れているかもしれませんが、冬山に行く用のスノーシューには「クライミングサポート」なるものがついています。かかとが上がることでより斜面を登りやすくしてくれるのです。

山の頂に立つ

 

 

さていよいよゴールが見えてきました。山頂付近はハイマツ帯へと植生が変わり、今の時期は雪の下に隠れているのでなんだか「はげ山」みたい…。

時々、雪に足を取られながら山頂へ。

 

 

標高600mの低山と言えど、周辺にそれ以上のピークがない「あの山」からは知床の大自然を見渡すことができました。

 

山に巻き付く雲、顔を見せない知床連山、広がるオホーツク海と埋め尽くす流氷。

登る前に私が思い描いていた以上の景色がありました。

 

実はこの「あの山」、何年か前の調査でかなりの数のヒグマの冬眠穴があったことが確認されたそう。雪の厚みが見えなかったように、私が今見ている森の中にもいくつもの命があるようです。

 

 

今回は本格的な「冬山登山」というよりも、「スノーハイキング」という入門編だったようですが、冬山が初めてな私にとって魅了されるのに十分な体験でした。

冬山を始めたくてうずうずしている皆さん、ぜひガイドさんとともに一歩踏み出してはいかがでしょうか?

 

今回お世話になったのは知床山考舎さん

広報担当 村上  晴花