原生林と湖をめぐる<知床五湖・地上遊歩道ツアー>(後編)
2021.6.12
アクティビティ ネイチャー ネイチャーガイド ヒグマ 夏 景色
今回は「地上遊歩道」のガイドツアーの体験レポートについて、前編から引き続きお届けします!
いざ!知床五湖の森の中へ!
知床五湖の地上遊歩道大ループ(距離3㎞・ツアー時間約3時間)を歩きます。
※地上遊歩道には小ループ(距離1.6㎞・ツアー時間1.5時間)もあります。利用については時期によって異なるので日程に合わせてご確認ください。
森の中の細い道をガイドさんの後ろにくっついて歩きます。ところどころぬかるみや岩が出ている部分、木道などがあるので足元には要注意!
小鳥のさえずりや季節によってはカエルやセミの大合唱が響きます。ガイドさんがヒグマ遭遇回避のために出す「ほいほーい」という声も聞こえてきます。
眠っていた五感にフル活動してもらいながら目の前の自然のすべてを逃すまいとしていると、ガイドさんが何もないところで止まって後ろを振り向きます。
「この木、変な穴が開いているの見えますか?」
2mぐらいの枯れた木にポコポコと可愛らしい穴が開いています。どうやら数年前にアカゲラというキツツキが巣を作って子育てしていたそう。
「水が入らないようにちゃんと作られているんですよ!」
よく見ると穴が開いている木には角度があって、うまいこと水が入らないようになっています。そうだよね、水が入るとヒナがずぶ濡れになっちゃう。
もう持ち主がいない巣穴を見ながら、キツツキが「木のお医者さん」「森の建築家」なんて呼ばれていることを教えてくれました。森の中では、それぞれの生き方にちょっとした役割があってやんわりと繋がっている、歩くだけでは見えないいろんなことがこの散策を面白くさせてくれます。
知床五湖の森の中は原生的な雰囲気を守るためにも案内看板が少なく、自分だけで歩くとただ景色を見て終わってしまう…、なんてことも。景色だけでも楽しいことですが、もっと知床のことを知りたい・紐解いてみたいという方はガイドツアーへの参加をおすすめします!
※知床五湖の「ヒグマ活動期」(例年5月10日から7月31日まで)は、「地上遊歩道」の散策は登録引率者同行のガイドツアー限定となります。
これが「知床五湖」
散策路を歩いていると湖がぼんやりと見えてきます。
最初に出会う「五湖」から順に「四湖」「三湖」「二湖」と続いていきます。(まさかの逆順。昔は反対向きだったそうです。)
湖それぞれで見せてくれる景色は違うのはもちろん、生きる動物や植物も違えば、季節によっても顔を変えます。この2枚の写真は三湖の展望地という同じ場所から見た、異なる日に撮影されたものです。日によって午前は霧が濃く幻想的な雰囲気かと思えば、午後から晴れて山が見えている、なんてことも。
ガイドさんの解説しかり、いつ来ても何度でも楽しませてくれるのが知床の醍醐味です。
ツアーの途中からは「高架木道」を歩くことになります。森の中を抜けて広がる草原の壮大な景色が何とも言えません。この展望台から最後の湖「一湖」を眺めて記念撮影。ガイドツアー再開してスタート地点でもあった知床五湖フィールドハウスを目指します。
知床五湖の高架木道についてはこちら
さて、高架木道を抜けたところで本日のツアーが終了!
ガイドさんがみんなの無事を確認してくれます。
「そうか…、私たちヒグマが住む森を歩いてきたんだ…。」
ツアー中はあまりにも当然すぎたことが、終わった今、妙な現実味を帯びて押し寄せる不思議な感覚がありました。
単なる森の散策や景色を楽しむ、というだけじゃなく、この感覚や森の雰囲気もぜひ味わっていただきたいです。
今回、案内してくれたのはMother Nature’s Sonのぴえさん
文章・写真/広報担当 村上晴花
写真/レストラン接客担当 廣瀬正人